「え―と、え―と、え―と……」
「あ”ぁ?」
不機嫌な声を出す目の前の人は今にも私に殴りかかってきそうで、どうしたものかと考える。こんな状況にもかかわらず、私は驚くほど冷静だった。いや、だって……。まさかお誘いを断ったぐらいでこんなにキレられるなんて思わないでしょう?ちかも別に前々から約束していてドタキャンしたわけでもないし……。てか、そもそも、この人誰?
う〜ん……
唸り声を上げながら立ち往生する私は自分の大学のキャンパスにいる。今日の授業はすべて終わったのでさっさと帰ろうと思い、校門へ向かっていた時だった。急に声をかけられる。俺とデートしろ。そんな一方的な話に、え、無理ですと素で返した。もしかして、返し方が悪かったのかな?プライドを傷つけてしまったとか?ん〜。でも、断られたくないならもうちっと誘い方考えようよ。
はぁ〜……ため息が漏れる。そんな私の様子が気に食わなかったのか、男が手を振り上げた。あ〜、私殴られる?もう、いいや。一発殴られれば解放されるならそれでもいい。とにかく、早く帰りたい。
覚悟して目を瞑る。……が、一向に殴られる気配がない。片目を薄っすらと開けて確認する。
「……あれ?」
先ほどの男がいなくなっていた。
「……お前さぁ。面倒だからって殴られようとするのやめろよ」
「あ〜うん」
私の右側。視界の隅っこの方でしゃがんでいる人がしゃべりかけてくる。どうやらロ―が助けてくれたようだ。頼んでないけれど、心の中で感謝はしておこう。……あ〜面倒な人に絡まれた。思い切り顔を顰める。
「あと、俺と会う度にそういう顔するのやめろ」
「……」
「逆に燃えるだろ?」
「は?」
何言ってんのコイツ。ついに顔をソイツの方へ向けてしまった。向けてから気づく。あ〜やられた〜。
「はい、俺の勝ちぃ〜」
この男はこういうやつだった。どうにかして私の関心を引こうとしてくる。お前に興味はないと何度も言っているのに。
「あ〜はいはい。私の負けですよ〜だ」
ふんっと首を反対へ振る。ククククッと喉で笑われることにいらだっている時だった。
「お、!」
「え、シャンクスッ!?」
赤い髪のその人と会うのはずいぶん久しぶりだった。